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無関心型の毒親の特徴〜愛されなかった子どものサバイバル〜

過干渉系の母親との縁切りに成功し、平穏な日々を過ごしている毒親サバイバーの朱音です。

 

このブログでは、毒親サバイバーが抱える生きづらさが少しでも楽になるような情報や心の在り方のアドバイスを紹介しています。

 

今まさに親子関係で悩みを抱えている方、毒親育ち特有の生きづらさを抱えている方のお役に立てれば幸いです。

 

今回ご紹介するテーマは、「無関心型の毒親です。

 

毒親のタイプには、大きく分けて4つあります。

 

  • 過干渉型(過保護型)
  • 支配型
  • 暴力型
  • 無関心型

 

無関心型の毒親と聞くと、ご飯を食べさせなかったりお風呂に入れなかったりと、育児放棄(ネグレクト)を想像する方もいるかもしれません。ですが、子どもに物理的な害を与えるという意味では、育児放棄(ネグレクト)は暴力型の毒親に分類されます。

 

では、無関心型の毒親とはどんな親のことを指すのでしょうか。簡単に言うと、「子どもが求めている形で愛情を与えられない」のが無関心型の毒親です。

 

衣食住の世話をして、学校に通わせて、習い事をさせて……一見、教育熱心で良い親に見えるでしょう。ですが、子どもの心の成長に全く関心が無かったらどうでしょうか。

 

親としての体面を保つために世話をし、学歴が大切だからと無理矢理に勉強させ、見栄えが良いからと習い事を習わせる。子どもの自立心や挑戦したい気持ち、友達関係には全く関心を持たない。一見すると良い親に思えますが、実際は「子どもの心の成長に“無関心”な親」なのです。

 

お気付きの方もいるかもしれませんが、子どもよりも自分本位で行動してしまう点は、どのタイプの毒親にも共通しています。子どもの勉強や学歴には熱心で過干渉である一方、それ以外の面では無関心といった、過干渉と無関心が重複しているタイプの毒親もいます。

 

▼過干渉タイプの毒親〜12の特徴と対処法

akane-dokuoya.hatenablog.com

 

無関心型の毒親である場合、子どもはその事実に気付かないことがあります。上で述べたように、子どもが求めていない自分本位の愛情だけはある場合のほか、「親から関心を持たれていない」という事実を子ども自身が認めたくない、認めると心が壊れてしまうため、敢えて事実を見ないようにするケースもあります。

 

本記事では、無関心型の毒親について詳しく説明するとともに、影響や対処法についてもお伝えしますので、最後までお読みいただけますと幸いです。

 

1.無関心型の毒親とは

無関心タイプの毒親とは

無関心タイプの毒親とは


1-1.時間よりも愛情の質の方が重要

 

  • 仕事が忙しく、家に居る時間が少ない
  • 介護などで子どもにかまう余裕が無い
  • 身体的、精神的に不調を抱えている

 

こういった条件の下では、確かに無関心型の毒親になりやすいでしょう。しかし、こういった条件にあるからといって、必ずしも毒親になるとは限りません。少ない時間の中でも、子どもにしっかりと向き合い、必要な愛情を与えている親はたくさんいます。逆に、たとえ長い時間を一緒に過ごしたとしても、見当外れで自分本位の愛情を振りかざしているのであれば毒親です。

 

大切なのは、子どもが求める形で愛情を与えられているかどうかであり、長い時間を過ごすかどうかは重要ではありません。

 

実際に無関心型の毒親で多いのは、多忙のために子どもにかまえないケースよりも、自分の都合や楽しみを優先するケースです。「お母さん/お父さんは自分よりも○○の方が大事なんだ、自分なんてどうでもいいんだ……」と子どもが感じてしまうことが問題なのです。


1-2.親も子どもも親も気付きにくい「無関心」

「仕事が忙しくてなかなかかまってあげられない。もっと子どもに関わらなければ」と考える親もいれば、「学校にも塾にも行かせている。親として十分役目を果たしている」と考える親もいます。無関心型の親かどうか、一緒にいる時間の長さでは測ることが出来ませんし、親の気持ちで判断することも出来ません。

 

大切なのは、子どもが何を感じ、何を考えているのかに関心を持つこと。そして、親の基準で否定することなく、子どもの気持ちに共感し、無条件に受け入れることです。

 

多くの毒親は、「お金や時間をかけたから」「大学まで行かせたから」、自分は立派な親だと勘違いしています。また、周りからも、ごく一般的な生活水準が保てていれば、普通の親やちゃんとした親と評価されることがほとんどです。

 

なので、子ども自身も、自分の親が自分の心に無関心であることには気付きにくいことがあります。心のどこかで空虚感やストレスを感じていても、世間的には普通だし、学校にも行かせてもらっているし……と考えてしまうのです。

 

また、子どもにとって親は、この世に生まれていちばん最初に自分の存在を認めてくれるはずの存在です。本能的に子どもは親を“好き”であり、自分の命を守ってくれる存在であると無意識に信頼しています。

 

つまり、子どもにとって親は、世界の根幹なのです。そんな親が自分に無関心であるはずがない。無関心であると認めることは、自分の世界や存在を否定することにつながってしまいます。(この世で最も自分を愛してくれるはずの親が、自分を愛してくれない=自分は存在価値が無い、という考え方)

 

なので、子ども自身が、親が自分に無関心であるという事実を意識的、あるいは無意識的に気付かないようにするケースは多くあります。必要な愛情が与えられていないにも関わらず、「お母さん/お父さんは忙しいなりに自分を愛してくれている、彼らは悪くない」と子ども自身が親をかばう発言をすることもあります。

 

無関心型の毒親は、過干渉型や支配型の毒親より注目される機会が少ないように感じますが、その根深さは他のタイプの毒親と同等かそれ以上と言えます。

2.無関心型の毒親の元で育つとどうなるか

無関心タイプの毒親に育てられた子どもの特徴

無関心タイプの毒親に育てられた子どもの特徴

2-1.「良い子」と「悪い子」

無関心型の毒親が子どもに与える影響にはどのようなものがあるのでしょうか。無関心型の毒親の元で育った子どもは、以下の2つの行動パターンが見られると言われています。

 

①親に迷惑を掛けないよう、大人しくて良い子になる
②親の注目を引くため、非行などに走る悪い子になる

 

①の良い子のパターンでは、良い子にすることで忙しそうな親に迷惑を掛けないようにするほか、「自分自身の個性を消す」という心理も働いています。自分が自分らしくあることについて親の関心が無いため、自分らしさに価値を見出せません。なので、世間一般的な「良い子」に自分を当てはめ、本来の個性や自分らしさを捨ててしまうのです。

 

意図的に捨ててしまう場合もありますが、多くの場合は良い子を演じているうちに本当の自分がわからなくなり、やりたいことや将来の目標が見出せないという生きづらさにつながります。

 

②の悪い子のパターンは、親の関心を引くために、学校や家でいたずらを繰り返したり、極端な場合は非行や犯罪行為に走ったりします。悪い子になっても親から嫌われるだけでは?と考える方もいるかもしれませんが、無関心よりも「怒られる」といった形で注目される方が、子どもにとってははるかに求めているものなのです。


2-2.心の栄養「ストローク

心理学用語に「ストローク」という言葉があります。「撫でる」「さする」という意味から転じて、心理学では言語/非言語に関わらず「存在を認める行為」を指します。存在を認める、というと大仰に聞こえますが、要は“自分が今・ここにいることを認識してもらう”ということです。

 

心理的ストロークの例>
・挨拶を交わす(「おはよう」に対して、「おはよう」と応える)
・相手の眼を見る
・会話に相づちを打つ

 

社会生活において、他者と交流する行為のほぼ全てがストロークに当てはまります。ストロークは「心の栄養」と言われており、人間は他者との交流無くして、人間らしく幸せに生きていくことはできません。

 

ストロークには、「+(プラス)のストローク」と「-(マイナス)のストローク」があります。相手を蔑むようなマイナスのストロークであっても、ストロークであることには変わりありません。無関心型の毒親の元で育ち、ストロークという心の栄養が不足している子どもは、「マイナスのストロークで構わないから欲しい!」と考え、非行などに走ります。

3.対処法~「愛してほしかった」という事実に気付く~

対処法〜「愛してほしかった」という事実に気付く〜

対処法〜「愛してほしかった」という事実に気付く〜


3-1.愛されないのは誰のせい?

無関心型の毒親の元で育った人は、自分自身の価値が見出せず、どうせ誰からも愛されないと考えてしまいがちです。

 

  • 自分なんて、存在しなくてもかまわない
  • 自分のことなど誰も関心が無い
  • 自分が他人から愛されることが想像できない

 

こういった考え方の原因は、本来愛してくれるはずの親から愛情が受けられなかったことにあります。親であれば子どもを愛することが当然であると、私たちは無意識に思い込んでいます。なので、もらえるべき愛情がもらえなかったときに、「自分のせいではないか」と考えてしまったり、「親に愛されないのだから、もう誰にも愛されない」と考えてしまったりするのです。

 

しかし、親が子どもを愛することは当たり前のように見えて、実はそうではありません。毒親に悩む人がたくさんいることからもわかるように、「子どもを愛せない親」というのは一定数存在します。

 

子どもよりも自分の都合を優先してしまう親、子どもと自分を同一視して価値観を押しつける親、子どもが求めている愛情がわからない親……親ガチャという言葉に象徴されるように、残念ながら親には“当たり外れ”があるのです。

 

愛されないのは子どものせいではありません。たまたまそのような親に当たってしまったからです。自分を責めないようにするとともに、もし無関心型の毒親の元に生まれてしまった場合はどのように回復すれば良いか、以下でご紹介します。


3-2.自分の中の「怒り」「恨み」を直視する

親に愛されないのは自分のせいだと思いながら生きてきた人の多くは、これまで一生懸命「良い子」を演じてきたのではないでしょうか。ですが、愛されないのは親の資質の問題であり、いくら良い子にしていても愛されることはありません。無関心型の毒親育ちの方に必要なのは、「愛してほしかった」という自分の気持ちに気付くことです。

 

良い子を演じてきた方は、結果として自分の気持ちに蓋をしてしまっています。「もっと私の気持ちをわかってほしい」「私が求めているのはそんなものじゃない」「お金を掛ければいいわけじゃない」無関心型の毒親に対して、言いたいことはたくさんあったはずです。

 

ですが、親に愛されたいという気持ちから、親が自分の望む形で愛してくれていないとどこかでわかっていながらも、「お金を掛けて進学させてくれている」「自分のためを思って習い事に通わせてくれている」と無理に納得しようとしたり、欲しくないプレゼントをもらっても嬉しいふりをしてみたりしてしまいます。

 

自分の本当の気持ちを蔑ろにする自己虐待の状態ですが、表面上は普通の親子に見えてしまうため、親も子も問題に気付くことが出来ません。「お母さん/お父さんは全然私のことをわかってくれない!」と反抗することは実はとても重要で、傷ついても喧嘩になっても問題を直視し、自分の気持ちを自覚する方が、子どもの心にとってプラスなのです。

 

では、そういった反抗の機会の無いまま大人になってしまった場合はどうすれば良いのでしょうか。反抗期も「子どもらしく過ごすこと」の一つであり、反抗期も無くずっと良い子で過ごしてきた人は、一種のアダルトチルドレンといえます。

 

毒親育ち=アダルトチルドレンなのか?生きづらさの原因を探る。

akane-dokuoya.hatenablog.com

 


アダルトチルドレンからの回復方法とも一部重複しますが、まずは、辛かった気持ちを自覚しましょう。大人になった今から振り返ってみると、子どもの頃は当たり前だと思っていた状況が、実は当たり前では無いと気付くことがあると思います。

 

自分のなりたい職業とは全く関係の無い進路を進められたとか、好きでもない習い事を続けていたのは親に喜んで欲しかったからだとか、そういったことを一つ一つ思い出して、自分の気持ちを整理してみましょう。

 

当時は「嫌だ!」「お母さんの言うことなんか聞きたくない!」と言いたくても言えませんでした。でも今は、思いっきり言っても大丈夫です。紙に書いても構いませんし、信頼できる友人に聞いてもらうのでも、カラオケで叫んでもOKです。

 

自分の中に親に対する「怒り」や「恨み」があることは直視しがたい事実かもしれません。特に、これまで優等生として生きてきた人は、抵抗感や罪悪感を覚えてしまうこともあるでしょう。ですが、それはこれまで置き去りにしてきた自分の心を見つめ直し、問題を整理することであり、本当の意味で「良いこと」をしているのです。

 

恨みに駆られた自分は醜いでしょうか?しかし、人は誰しもマイナスの感情を持っています。良い部分も悪い部分も含めて自分であることを認めることで、「良い子を演じなければ」という肩の荷を少しずつ降ろすことが出来ます

 

子どもの頃から積み重なってきた考え方は、簡単には変えられません。ただ、感情を押し込めることは心にとって大きな負担です。本当の自分はどう思っているのか、こまめに振り返ることをコツコツ心掛けることをおすすめします。

4.まとめ

まとめ

まとめ

私自身、母のことを過干渉型の毒親だと認識していました。ですが、ある部分では私の心に興味が無く、無関心型の毒親と言える部分もあると感じています。

 

支配型や過干渉型の毒親ではないけれど、親に対してモヤモヤした思いを抱えていたり、生きづらさがあったりする場合は、本記事を参考に、無関心型の親への対処方法や自分の本当の気持ちへの気付き方などを見つけていただければと思います。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

<point>

  • 無関心型の毒親=子どもが求める形の愛情を与えない親
  • 無関心型の毒親の元で育つ子どもは、極端に良い子か悪い子になりやすい
  • 子どもが親を愛することは、実は当たり前では無い
  • 子どもを愛せない親は一定数存在し、愛されないのは子どものせいではない
  • 自分の気持ちに正直に、親に反抗することも重要
  • 反抗期を過ごせなかった人は、今からでも自分の気持ちに耳を傾けることを心掛ける