過干渉タイプの毒親〜12の特徴と対処法〜
過干渉系の母親との縁切りに成功し、平穏な日々を過ごしている毒親サバイバーの朱音です。
このブログでは、毒親サバイバーが抱える生きづらさが少しでも楽になるような情報や心の在り方のアドバイスを紹介しています。
今まさに親子関係で悩みを抱えている方、毒親育ち特有の生きづらさを抱えている方のお役に立てれば幸いです。
今回ご紹介するテーマは、「過干渉タイプの毒親の特徴」です。
私自身、過干渉タイプの毒親の元で育ちましたが、暴力タイプや無関心タイプの毒親と違い、一見すると教育熱心で愛情深い良い親と思われがちです。そのため、周りから辛さが理解されにくく、子ども自身が毒に気付けないケースもあります。
この記事では、過干渉タイプの毒親に見られる特徴のほか、対処方法などもご紹介しますので、ぜひ一読ください。
1.過干渉タイプの毒親とは
毒親のタイプには、「支配型」「暴力型」「無関心型」「過干渉型」の4つがあると言われています。このうち過干渉型の親は、子どもに過度に関わり、子どもの心や人生を自分のものにしようとする傾向にあります。
親子ですので、親が子どもに関わるのは当然のことです。しかし、過干渉タイプの毒親は、明らかに度を超えたレベルで子どもに干渉します。また、子どもが成長してからも干渉し続け、子どもの自立を邪魔します。
過干渉の親は、親自身が一人の人間として自立できていません。そのため、子どもを使って自分の理想の人生を実現しようとしたり、子どもを自分に頼らせることで自分の存在価値を確かめようとするのです。
<過干渉タイプの毒親の例>
- 自分の夢を子どもに実現させようと、興味の無い習い事を習わせる。どうせなら自分の好きな習い事をしたいと言っても、聞く耳を持たない。
- 自分が大学に行けなかったコンプレックスから、子どもに大学進学を強制したり、過度な期待やプレッシャーをかけたりする。
- 子どもの勉強時間や宿題をチェックする。
- テストで100点を取らないと褒めてもらえない。
- 友達関係や服装などに口出しされる。
「あなたのためを思って」と、過干渉型の親はよく言います。ですが、それはすべて「親が満足するため」に言っているに過ぎません。自分と子どもの区別が曖昧なので、「あなたのためを思って」という言葉を使ってしまうのです。
常に行動を制限する、親の価値観を押しつける、興味や好みを否定する、子どもの成長を認めない──過干渉型の親に見られがちなこれらの行動は、子どもの頃だけでなく、大人になってからの生きづらさにもつながります。
2.過干渉タイプの毒親の特徴
過干渉タイプの毒親は、親自身が精神的に自立できておらず、人間として成熟していないため、子どもを別の人格として尊重できません。「子どもにも自分と同じ価値観でいてほしい」「子どもの行動が把握できないと不安」「親自身に自信が無く、世間体を気にしてしまう」といった心理があるため、
- 親の価値観を子どもに押しつける
- 子どもを監視し、支配する
- 子どもよりも世間体を優先する
といった特徴があります。
以下では、それぞれの特徴を詳しくご紹介します。
2-1.子どもに価値観を押しつける
<具体例>
- 子どもの好みを認めず、親の好みや趣味を強制する
- 進学先や就職先を勝手に決める
- 恋人や友人関係に口出しする
- 実態のない「常識」を押しつける
親子といえ別の人間ですから、興味の対象や好きなものは違って当然です。ですが、過干渉系の親はそのことが認められず、子どもに自分と同じであることを強要します。例えば、
- 子どもはサッカーが好きだが、親は野球が好きなので野球部に入らされる
- 内定した企業を辞退させられる/公務員になることを強いられる
- 恋人の容姿や性格などを評価、批判する
- 一人暮らしできる収入があるにも関わらず、「結婚するまで家を出ないのが常識」と一人暮らしを認めない
このような毒親の過干渉はすべて、「子どもの人生は親のもの」「親子なんだから同じ価値観であるのが当然」という親の考えが原因です。親子であっても別人格であり、子どもには子どもの気持ちや価値観があるということが、毒親にはわかりません。
小さい頃から親の価値観を植え付けられてしまうと、「子どもは親に合わせるのが当然」と子ども自身が信じて疑わず、毒親の束縛から逃れられない、そもそも毒親であることに気付けないといったケースもあります。
2-2.子どもを監視・支配する
<具体例>
1. 「○○しなさい」「○○するな」などの命令口調が多い
2. 子どものプライべートを詮索する
3. 子どもの性的な成長に健全な対応をしない
4. 子どもの服を指定する
過干渉型の毒親は、いつまでも子どもに、「子どものまま」で居てほしいと思っています。幼い子どもは、親が居なければ生きていけず、親と子どもには圧倒的な力の差があります。ですが、子どもが成長して大人になれば、パワーバランスは対等になり、親としての優越が保てません。なので、いつまでも子どもを「幼く守られる存在」「支配される存在」で居させるために、支配や監視を続けます。
- 生活態度やちょっとした仕草まで、いちいち指示されたり注意されたりする
- 成人してからも、外出先や同行者の報告を求める
- ブラジャーを買ってくれない/性的なものに興味があることを責め立てる
- 子どもの成長や好みに合わない服を買い、着させる
過干渉タイプの毒親は子どもに対し、「子どもは親の言うことを聞いて当然」「たとえ大人になっても、親の指示は絶対」といった態度で接します。子どもに自立心が芽生え、親の言うことに従わないと、火をつけたように怒り、ヒステリーを起こします。これまで支配できた子どもが支配できなくなり、半ばパニックになっている状態です。
親が激高すると、子どもの心は深く傷つきますし、「自立は悪いことなのか…」と子ども自身が認識してしまいます。その結果、親の思惑とおり、いつまで経っても自立しない、親に従順な子どものままになります。
2-3.子どもより世間体を優先する
<具体例>
- 学歴に執着する
- 子どもに過度なプレッシャーを与える
- 人前で子どもを卑下する
- 結婚相手や子育てに口出しする
過干渉タイプの毒親は、親自身が一人の人間として自立できていません。そのため、自分に自信が無く、物事を自分の軸で判断することができないので、世間体ばかり気にしてしまいます。子どもには子どもの人生があり、それは子ども自身が切り開くものです。子ども自身が道を選び、自分の力で歩んでいけるならば何の問題もありません。しかし毒親は「世間に認められること」「普通であること」を重視するため、子ども自身の選択を認めたがりません。
- 「大学に行くのは絶対」「大学に行かないと人生が真っ暗になる」と幼少期から繰り返し言う
- テストで良い点を取っても褒めず、もっと良い点を取るように言う
- 「うちの子は性格が悪くて…」「勉強が全然ダメで…」など、親の謙遜のために人前で子どもを悪く言う
- 結婚相手の職業や家柄を根拠に、結婚に反対する
過干渉タイプの毒親は、子どもと親自身の区別が曖昧で、子どもを自分の一部だと考えています。なので、自分の世間体を保つために進学させることも、自分が謙遜するために子どもを悪く言うことも、全く問題無いものと思っています。
親の世間体を保つための道具として扱われてきた子どもは、親と同じように世間体を気にしてしまい、「自分が何をしたいか」より「周りがどう思うか」を優先するようになります。なので、進学や就職の際にどうして良いのかわからず、結果として親の言うとおりになってしまいます。
3.過干渉タイプの毒親に育てられた子どもの生きづらさ
過干渉タイプの毒親は、周囲からは「教育熱心」「愛情深い」と見られがちで問題に気付かれにくく、親や子ども自身にも自覚がありません。子ども自身が大人になって生きづらさを自覚することで、初めて自分の親が「毒親」であることに気付くパターンが非常に多いです。
過干渉タイプの毒親に育てられた子どもの生きづらさには、次のようなものがあります。
- 自分のやりたいことがわからず、無気力
- 親の望みを叶えることが人生の目的になり、叶えた後は燃え尽きる
- 完璧主義や白黒思考になる
- 他人に過度に期待し、「べき思考」になる
- 恋人や友人に依存する
過干渉タイプの毒親に育てられた子どもは、ずっと親に監視され、支配され、親の言うがままにするしかありません。毒親によって、「自分が何をしたいか」という自分自身の気持ちに耳を傾ける機会を奪われてしまっているのです。そのため、大人になってからも「やりたいこと」「楽しいこと」「好きなこと」がわからず、多くの方が無気力や虚無感に悩まされます。
進学や就職、結婚など親の言うがままに生きてきた人は、親の望みをすべて叶えた時点で、人生の目標が無くなってしまいます。また、親が亡くなったり、途中で親が子どもに興味を無くしたりする場合もあります。これまで親のために生きてきた人は、親を失うことで人生の一部を失ったような感覚になり、喪失感や燃え尽き症候群に襲われます。
過干渉タイプの親に育てられた人が陥りがちなのが、「白黒思考」と「完璧主義」です。親の言うとおりにできているかどうかの二択で生きてきたため、グレーゾーンがありません。物事の判断が極端になりがちで、自分自身にプレッシャーをかけてしまうため、根本的な生きづらさにつながります。
また、他人に過度な期待をしたり、「○○するべき」と考えてしまう(=べき思考)ことも、過干渉タイプの毒親サバイバーに見られる傾向です。常に親の期待に応えてきたため、ほかの人間も他人の期待に応えるべきと考えてしまいます。
せっかく親の過干渉から逃げ出せても、「誰かに干渉されること」が当たり前になっていて、恋人や友達に依存してしまう場合もあります。自分のやりたいことがわからないため、誰かの指示や支配に頼ってしまいます。自分で決めること(自立)を応援してくれる人に出会えればラッキーですが、そうでなければ「都合の良い相手」として利用されてしまいます。
4.生きづらさの解消
過干渉タイプの毒親育ちの生きづらさを解消するには、これまで刷り込まれてきた「親の価値観」「親の支配」から抜け出す必要があります。子どもの頃から数十年も刷り込まれてきた価値観や生き方なので、すぐに変えることはできません。ですが、毎日少しずつ意識することで、あなたの人生は必ず取り戻すことができます。
無理をしない程度で構いませんので、ぜひ以下を実践してみてください。
- 他人の評価に頼らず、自分で自分を評価する
- 自分が自分をどう評価しているか分析する
- 親から物理的に距離を取る
まず、他人の評価を気にせず、自分で自分を評価してみましょう。過干渉タイプの毒親育ちの人は、親に評価されることが当たり前になっているので、意外と自分で自分を評価したことがありません。
仕事に毎日行っている、家事をサボってしまった、ダイエット中なのでお菓子を我慢した……そんなあなたを、あなた自身はどう評価しますか。お母さんやお父さんのことは忘れて、あなた自身で自分を評価してみてください。
次に、自分で自分を評価した結果を分析します。さっきの評価は中立か?という観点で、評価結果を見直すのです。
「仕事に毎日行くなんて当然だから、褒められることではない」「家事をサボった私はダメ人間だ」「お菓子を我慢した程度で慢心してはいけない」
──毒親育ちの方は、自分に厳しい評価をしがちです。ですが、それは中立な評価ではありません。自己評価が偏っている、自分に厳しすぎであることに気付きましょう。
「毎日仕事にいって、真面目で勤勉」「家事をサボるのは良くないけれど、ダメ人間は言い過ぎ」「お菓子を我慢できて偉い」
例えば友達が「家事をサボってしまった」という話をしていたら「そんなこともあるよね」と返すのと同じです。あなた自身があなたを大切に扱うことは、自分のために生きることそのものです。
この思考プロセスを繰り返すことで、自分を卑下する癖が直り、「自分で自分を認めること」ができるようになります。自分は自分であると考えられるようになれば、自分のやりたいことも自然と見つかりますし、他人に過度に期待したり依存したりすることも無くなってきます。
また、親と物理的な距離を取ることが非常に重要です。上記のような思考プロセスを繰り返しても、同時に親から過干渉を受けていては効果が薄れてしまいます。そもそも親に邪魔されて、落ち着いて自分を評価できないかもしれません。
ですので、成人していて自分の稼ぎで生活できるのであれば、家を出るのがもっとも効果的な方法です。毒親からの逃げ方については、以下の記事で詳しく紹介しています。
▼毒親からの逃げ方〜4つのステップ
5.まとめ
いかがでしたでしょうか。本記事のポイントをまとめると、以下のとおりです。
- 過干渉系タイプの毒親の特徴は「価値観の押しつけ」「支配と監視」「世間体の優先」
- 過干渉系タイプの毒親の元で育った子どもは「無気力」「完璧主義」などの生きづらさを抱える
- フラットな自己評価で自分を認めると、生きづらさは少しずつ楽になる
過干渉系タイプの毒親に育てられると、問題に気付くのが遅れがちで、生きづらさが深刻化してしまう傾向があります。自分の生きづらさに気付いたら、少しずつで構いませんので、「自分で自分を認める」ことを始めましょう。ゆっくりですが確実に、生きやすくなるはずです。