毒親育ち=アダルトチルドレンなのか?生きづらさの原因を探る。
過干渉系の母親との縁切りに成功し、平穏な日々を過ごしている毒親サバイバーの朱音です。
このブログでは、毒親サバイバーが抱える生きづらさが少しでも楽になるような情報や心の在り方のアドバイスを紹介しています。
今まさに親子関係で悩みを抱えている方、毒親育ち特有の生きづらさを抱えている方のお役に立てればと幸いです。
毒親とアダルトチルドレンは並べて語られることが多いのですが、そもそも毒親とアダルトチルドレンにはどのような関係があるのかご存知でしょうか。
ごく単純化して言うと、「毒親に育てられた子ども=アダルトチルドレン」です。子ども時代を子どもとして過ごせなかったために、大人になっても人との関わりや自立に関して困難を抱えてしまう状態――これがアダルトチルドレンです。
- 他人に気を遣ってばかりで疲れてしまう
- 自分のやりたいことが見つからない
- いつもネガティブに考えてしまう
こんな生きづらさを抱えていませんか?この生きづらさの原因に「生い立ち」があることに気付くだけで、少し心が楽になるかもしれません。
また、自分の生きづらさを客観的に見つめ直すことが、ネガティブな思考(※)から抜け出すきっかけになることもあります。
※極端に自分を卑下したり、物事を悪くとらえてしまうこと=「認知の偏り」
この記事が、アダルトチルドレンの方の生きづらさを解消するきっかけになれば幸いです。
- 1.アダルトチルドレンとは
- 1-1.機能不全家族とは
- 1-2.アダルトチルドレンは病気?
- 2.アダルトチルドレン~6つのタイプ~
- 3.アダルトチルドレンの生きづらさ
- 4.生きづらさへの対処法
- 5.まとめ
1.アダルトチルドレンとは
冒頭でお伝えした通り、簡単に言うと「毒親に育てられた子ども=アダルトチルドレン」です。もう少し詳しく説明するならば、アダルトチルドレンとは「機能不全家族の中で育った子ども」であり、子ども時代を子どもらしく過ごせなかった人ということになります。
アダルトチルドレンの特徴には、以下のようなものが挙げられます。
<チェックポイント>
- 人から嫌われることがとても怖い
- 良い人だと思われたい欲求が強い
- 自分の意見より他人の意見を優先する
- 人から否定されると極度に落ち込む
- 「嫌だ」「No」と言えない
- 気を使い過ぎて疲れる
- 好きなことややりたいことが思いつかない
- 仲の良い人に依存してしまう
自分はアダルトチルドレンかもしれないと思った方は、子どもの頃の境遇や辛かったことを振り返ってみましょう。「なぜネガティブに考えてしまうのか」を整理することで、問題を解決できるかもしれません。
1-1.機能不全家族とは
子どもにとって“家族”とは、心と体が休まる場所でなければなりません。栄養のあるご飯、清潔を保つためのお風呂、静かでぐっすり眠れる布団。身体的に安全が保たれることで、子どもは健康に育つことができます。
また、心理的な安全・安心も保たれなくてはなりません。嫌なことがあれば話を聞いてくれる、自分の挑戦を応援してくれる、いつも見守り味方で居てくれる。自分には心強い家族がいると思えることで、子どもは様々な事に挑戦し、経験を重ね、やがて自立し自分自身の意思と力で生きていくことができます。
機能不全家族は、この「心と体の安心・安全」が保障されません。家に帰ってもご飯が無い、いつ怒られるかとビクビクしている、親に生活能力が無く、子どもが親を世話する立場になっている――こういった不安定な状況で幼少期を過ごした人は、他人に対して信頼を預けることができないばかりか、自分自身も信じることができず、常に不安感や焦燥感に駆られてしまうことになります。
1-2.アダルトチルドレンは病気?
「アダルトチルドレン」や「機能不全家族」という言葉は、もともと親がアルコール依存症である家庭やその元で育った子どもを指す言葉でした。ですが現代では、虐待や過保護・過干渉、ネグレクトやDVなども含め、様々な問題を抱えた家庭やその子どもを指すようになっています。
同時に、「毒親」という言葉も一般的になってきました。毒親の定義は「子どもにとって良くない影響(毒)を与える親」と非常に広いものです。言葉の意味はそれほど重要ではありませんが、「機能不全家族」「毒親」「アダルトチルドレン」は病気ではない、ということだけはきちんと押さえておきましょう。
病気というのは、風邪や胃腸炎、うつ病など、薬などによって治療ができるものです。一方で、機能不全家族や毒親、アダルトチルドレンは状態を指す言葉であり、生きづらさの原因を整理するための概念に過ぎません。
私たちはアダルトチルドレンという概念を、生きづらさの原因を探り、少しでも心を軽くするために使っています。つまり、似ているケースを整理・分類し、問題解決に向けて皆で考えられるように「アダルトチルドレン」という言葉が使われている、ということです。
ですので、自分がアダルトチルドレンであるからといって、焦ったり嘆いたりする必要はありません。どんなケースがあり、どうすれば生きづらさが楽になるのか、考えるきっかけができたと前向きに捉えてくださいね。
2.アダルトチルドレン~6つのタイプ~
アダルトチルドレンには6つのタイプがあると言われています。どれか一つだけに当てはまる方もいれば、複数に当てはまるケースもあります。
①ヒーロー(英雄)
優等生タイプ。頑張ることで両親や家庭内の環境が良くなるので、頑張り過ぎてしまう。他人からの期待に過剰に応えようとして、消耗する。
②スケープゴート(いけにえ)
問題児タイプ。ヒーローの逆で、関心を引くために非行などの行動をとる。家族の負の部分を背負い、「この子さえいなければ、全部丸く収まる」とほかの家族が思い込むことで、家族の崩壊を防ぐ役割を担っている。
③ロスト・ワン(失われた子ども)
子どもであるにも関わらず、家庭内でほとんど忘れられ、まるで居ないかのように扱われる。自らも目立たず静かにふるまっており、家族から距離を取ることで心を守っている。
④マスコット、クラン(道化師)
おどけた振る舞いで家族を笑わし緊張を和らげるとともに、本質的な問題から目をそらさせる。表面的には、ペットのように猫可愛がりされる。
⑤プラケーター(慰め役)
両親が喧嘩をしたり、外でトラブルを起こした際などに、慰め、カウンセラーのような役割を果たす。
⑥イネイブラー(支え手、援助者)
家族の世話をするなど奉仕し、自分の問題と向き合うことを避ける。下の兄弟の面倒を見たり、病気の親の世話をしたりして、本来親がすべき役割を果たしている。
それぞれの特徴を見ていると、「あの場面で私はマスコットの役割だったなあ」と気付くことがあると思います。子どもの頃は当然のこととして役割を果たしていても、大人になった今振り返ると、子どもが担うべき役割では無かったと気付くはずです。
子どもとして不相応な役割を押し付けられていたことを自覚し、子どもらしく過ごせていなかった事実をまずは受け止めてみましょう。「だから今でも良い人ぶってしまうんだ」など、生きづらさの原因の一部が見えてくるのではないでしょうか。
3.アダルトチルドレンの生きづらさ
「1.アダルトチルドレンとは」でチェックポイントについてはご紹介しましたが、ここではさらに具体的な生きづらさの例をご紹介します。自分の幼少期の経験などを結び付けながら、「この生きづらさの根本には、この考え方があったんだ!」といった気付きに繋がれば幸いです。
①他人からの評価を異常に気にしてしまう
親の機嫌によって怒られたり殴られたりした経験から、他人の顔色を伺うことが癖になってしまいます。また、親自身も世間体を気にするタイプの場合は、「世間」や「普通」といったことにこだわりすぎて、自分が本当にやりたいことができない・わからないといった状態に陥ります。
例1)相手のちょっとした言い回しなどから「怒らせてしまったのではないか?」と不安になる。
例2)やりたいことは別にあったが、周りに合わせるために大学に進学した。
②息抜きが下手で、仕事のことばかり考えてしまう
常に親の支配下にあり、自分の意思で自由に過ごす経験が無かったため、「のんびり過ごす」「息抜きする」といったことができません。誰かの指示やタスクが無いと何をしてよいのかがわからず、休みの日でも仕事のことを考えるなどで時間をつぶしてしまいます。常に緊張状態でリフレッシュができないため、心身を消耗します。
例1)仕事を忘れて没頭できる趣味が無い。
例2)「自由行動」と言われると何をして良いのかわからない。
③完璧主義で新しいことへの挑戦が苦手
親の期待通りに振る舞うことが人生の至上命題であったために、常に「正解」を求めてしまいます。自分の意志や好きなことを顧みずに生きてきたせいで、自分の判断で物事に挑戦することができません。「正解」や「完璧」に囚われて新しい道に踏み出せず、何もできないまま時間だけが過ぎるといったこともあります。
例1)資格を取ろうと思っても、試験に受かるか心配で挑戦できない。
例2)一つの会社で働き続けるべきと考え、劣悪な労働環境でも転職に踏み出せない。
④世間一般の「理想」に合わせてしまう
世間的に理想とされる価値観(親切、真面目、高学歴、高収入など)に合わせることで、自分の意思が無くても社会で上手く振る舞うことができます。ですが、優等生を演じていると、ますます自分の気持ちを振り返る場面が減ってしまいます。その結果、「やりたいこと」「目指す自分」をアピールしなくてはいけない就職活動などで大きくつまずく場合があります。
例1)真面目で優しい自分を常に演じている感覚がある。
例2)自分が目指す将来の姿を具体的に描くことが出来ない。
⑤自己評価が極端に低い
アダルトチルドレンの方は、他人の顔色や世間からの評価に応えようと頑張りすぎてしまう傾向があります。また、完璧主義になりがちな面もあるので、結果として「できなかった自分」を非常に責めてしまうことがあります。高い理想を持つことは良いことですが、それが本質的な自分の意思に結びついていないため、できなかった自分には価値が無いなど、極端な思考に陥ってしまうのです。
例1)自分は何をやっても駄目な人間だと思っている。
例2)ミスをしたとき、不眠や食欲不振など、身体症状が出るほどに落ち込む。
4.生きづらさへの対処法
4-1.インナーチャイルド(内なる子ども)
アダルトチルドレンの方が持つ生きづらさへの対処方法として、「インナーチャイルド」(内なる子ども)という概念がよく用いられます。アダルトチルドレンは「子ども時代を子どもらしく過ごせなかった人」であり、心の中に大人になりきれていない子どもの自分が存在している、という解釈です。
「1-2.アダルトチルドレンは病気?」では、子ども時代にタイムスリップしない限り、アダルトチルドレンを解消することはできないとお伝えしました。インナーチャイルドを育てることは、擬似的(心理的)にタイムスリップし、子どもらしく過ごし直すということでもあるのです。
インナーチャイルドの育て直しに本格的に取り組むのであれば、資格を持ったカウンセラー等のカウンセリングを受ける必要があります。また、自分自身でも、簡易的な形であれば、インナーチャイルドの育て直しは可能です。
<インナーチャイルドの育て直し方>
- 幼い子どものイメージを頭の中に描く
- その子が泣いている様子をイメージする
- 「なぜ泣いているの?」とその子に問いかける
- 悲しい、怖い、辛い、苦しい…といった抽象的な答えに対し、自分の経験を結びつける(例:勉強を頑張ったのに、親に褒めてもらえず悲しかった)
- 「あのとき、悲しかったね」と大人の視点で子どもを受け入れる
- 「受け入れてもらえた、思いっきり悲しんで良いんだ」と子どもの視点で感情を発散する
インナーチャイルドの育て直しのポイントは、「子どもらしく過ごし直すこと」です。⑥で子どもとしての感情を発散させ、擬似的に子どもらしく過ごすことで、インナーチャイルドは一歩ずつ大人へと近付くことができます。
毎日続ける必要はありません。アダルトチルドレン特有の生きづらさを強く感じたときや、メンタル的に過去を振り返っても大丈夫な状態のときに、少しずつ試してみましょう。
4-2.グループワーク・ワークショップ
アダルトチルドレンの方が集まるグループワークやワークショップが開催されています。アダルトチルドレンからの回復方法には様々なものがありますが、アダルトチルドレンの自助グループでは主に、「ただ話す/ただ聞く」といった形のワークショップが開催されています。
同じ悩みを持つ人同士で集まり、お互いの経験を共有することで、心を浄化(カタルシス)することができます。「ただ話す/ただ聞く」という手法を取るのは、アダルトチルドレンの方は自尊心が極度に低く、質問や感想で傷ついてしまう可能性があるからです。
責められたりミスをしたりする心配をせず、参加者は安心して自分の経験を語ることが出来ます。言葉にすることで辛い経験を整理することができ、生きづらさの回復につながります。
4-3.家族から距離を取る
自分をアダルトチルドレンにした人たち(家族、毒親、機能不全家族)と共に過ごしても、あまり良いことはありません。むしろ、成人したことでさらに「役割」を求められるケースもあります。
子どもの頃から散々親のために振る舞ってきたのに、大人になってますます束縛されるのでは、生きづらさは募っていく一方です。自分の生きづらさの原因が家庭にあるとわかったら、できる限り早く家を出ることを考えましょう。
毒親からの逃げ方については、以下で詳しく説明しています。
▼毒親からの逃げ方~4つのステップ~
5.まとめ
本記事では、毒親と合わせて語られることの多い「アダルトチルドレン」について説明してきました。アダルトチルドレンの特徴や生きづらさへの対処法のポイントは、以下のとおりです。
- アダルトチルドレンとは「子ども時代を子どもらしく過ごせなかった人」
- アダルトチルドレンは病気ではなく、生きづらさを軽くするための概念
- アダルトチルドレンには6つの分類がある
- アダルトチルドレンの生きづらさの根本を探ることが大切
- インナーチャイルドを育て直すことで、アダルトチルドレンから回復できる
- グループワークでは「ただ話す/ただ聞く」だけなので、安心して自分の経験が語れる
- 家族から距離を取ることも非常に重要
また、アダルトチルドレンが育つ機能不全家族や毒親には様々なパターンがあります。本記事と合わせて、以下の記事もお読みいただければ、さらに理解を深めていただけると思いますので、ぜひご覧ください。
▼過干渉タイプの毒親の特徴